「月の砂漠をさばさばと」 著:北村薫 絵:おーなり由子
9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。
お母さんはふと思います。いつか大きくなった時、今日のことを思い出すかな――。
どんな時もあなたの味方、といってくれる眼差しに見守られてすごす幸福。
かつて自分が通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。やさしく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。
「裏表紙より」
著:北村薫
絵:おーなり由子
出版:新潮文庫
こんにちは!たらです。
今日のおすすめ本は「月の砂漠をさばさばと」です。
この本は気が付くと定期的に読み返してるお気に入りの1冊です。
心の換気をしたい時、読み返したくなる物語なんです。
今回は私とこの本との出会いのエピソードを添えて紹介していきたいと思います。
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月の存在と一目惚れした❛❜おーなり由子❛❜さんの挿絵
個人的に月という言葉もモチーフも形も色も好きなんです。
なぜ月が好きかというと、みなさまもご存じの通り月というのは自分では光る事はできません。
月は太陽の力を借りて光っているように見えています。
月は太陽のように自身では輝くことはできませんが、真っ暗な夜の世界を照らしてくれています。
そんな ちょっと控えめでありながら 温かい存在である月に憧れているのかもしれません。
本屋さんでそんな『月』という言葉が入っているタイトルを見つけると自然に手にとってしまいます。
今回も本棚から迷わずこの本を引き抜きました。
表紙絵を見た瞬間この本に恋をしちゃいましたー☆
そんな一目でハート撃ち抜かれた表紙絵と挿絵は絵本作家であり漫画家でもある❛❜おーなり由子さん❛❜が担当されています。
物語の本文中の挿絵もどれもほんわかとしたタッチと色使いでとても素敵です。
是非物語と一緒に楽しんでください。
絵:おーなり由子
1965年生まれ。絵本作家、漫画家。
主な著書
・新潮社
『ひらがな暦』『幸福な質問』『モーラとわたし』『天使のみつけかた』『きれいな色とことば』
・講談社
『ことばのかたち』
・大和書房
『365日のスプーン』『天使のみつけかた』『ラブレター』
・角川書店
『てのひら童話1~3』
・ブロンズ新社
『あかちゃんがわらうから』 など。
すっと心に溶け込む母と娘の日常の会話の魅力
このお話の主人公は2人暮らしの9歳のさきちゃんと作家のお母さん。
さきちゃんはお母さんの即席でしてくれるお話が大好きな女の子。
私もさきちゃんのお母さんがしてくれるちょっとデタラメで温かいお話のファンの一人です。
正確に言うと、お母さんの即席のお話とそれに答えるさきちゃんとの会話の大ファンです。
日常的に2人の間で交わされるどの会話にクスっと笑ってしまったり、「懐かしいなー」「わかるなー」「あったあった」と、自分自身の子供時代を重ね合わせる事が出来る情景が浮かぶはずです。
そんな母と娘のユーモアたっぷり掛け合いにほっこりほのぼの、心温まる物語です。
ですが、ほわほわ・ほのぼのした内容の中に、よくよく読み深めると実はそこに隠された母親の思いや、子供の思いが浮かび上がります。
そこに気が付いた時には私はグッときてしまいました。
それはたぶん悲しくなるとか切なくなるグッではなく、
ガンバレー!と大好きな2人を応援したくなるグッです。
お母さんがさきちゃんに伝えていく一見デタラメに思える物語や、質問や言葉や歌に散りばめられたお母さんの思いの素敵な事、素敵な事。
さきちゃんの素直な受け答えにも終始心癒されます。
その中にチラリと垣間見れるさきちゃんの気遣いに、子供の幼くも大切な人を思う気持ちや、空気を読みとる力をも感じます。
ただのほのぼのストーリーではないさりげない陰影が何度も読み返したくなる著者の秘密の隠し味なのかもしれません。
著:北村 薫
1949年生まれ。小説家、推理作家。
主な著書
・新潮文庫
『スキップ』『ターン』『リセット』『七つの黒い夢』
・創元推理文庫
『空飛ぶ馬』『夜の蝉』『六の宮の姫君』
・角川文庫
『覆面作家は二人いる』
・文春文庫
『街の灯』『玻璃の天』『鷺と雪』 など。
心が疲れてしまった時に読むとふっっと心が軽くなる物語
母と幼い娘の日常の自然な空気感でくりだされる会話の内容に
ふっと肩の力抜けるのを感じてもらえるはずです。
私の場合は読書中いつの間にか自分の子供時代を重ね合わせ、幼き頃に戻って
さきちゃんの友達のような感覚で物語の中にいます。
読み終えた時 その時心にある重たいものが軽くなっているんです。
純粋な気持ちに触れて心が浄化される感じ、透き通る感じになるんです。
【この本を開いてね物語をホワホワと読んでいるとね、
パォーン~って本からぞうさんの長~いお鼻が伸びてきてね、
スゥースゥーって心のお掃除をしてくれるの。】
さきちゃんのお母さんのように、そんなデタラメで楽しい物語を即席で作りたくなってしまいます。
もしかすると、これを読んで下さっている あなたはお母様かもしれませんね。
そんな時はさきちゃんのお母さんにご自身を投影されながらお読みになるでしょうか?
お子様の幼き頃を思い出されて懐かしくなられてフッと微笑みながら読んじゃうかもしれませんし、
今現在子育て真っただ中でちょっと疲れちゃってるなってお母さんがいらしたとしたら、
ご自身のお子様との向き合い方のちょっとしたヒントになるかもしれません。
そんな優しい風が吹き、ふっと心が軽く物語です。
読了後、是非みなさまの感想も聞いてみたいなって思います。
たら
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